のんびりしてればよかったの?
退職してから、ずっと真っ白だったカレンダーに、仕事の予定がひとつ、またひとつと増えていく。
最初はポツポツだったのに、気づけば今月は4か所の職場で18日間の勤務予定。
嬉しくて、何度もカレンダーを眺めていた。
25年間勤めたスーパーを辞めて、仕事の予定がなくなった毎日。まさか、カレンダーが埋まっていくことを、こんなにも嬉しく感じるとは思わなかった。
現在、失業保険を受給しながら、1日2時間だったり、3時間だったり、長くても4時間の短時間の仕事をしている。
我ながら、よく予定を入れたものだと思う。
実は、失業保険を受給するのは、この年齢になって初めてのこと。25年間働き続けてきたので、制度についてもぼんやりとしか理解していなかった。
退職後、ただでさえ気持ちが落ち込んでいた頃、ハローワークでこんな質問をしたことがある。
「失業保険をもらいながら働くことはできますか?」
すると、若い担当者から呆れたような口調で言われた。
「ここは雇用保険がつくところに、きちんと就職しようとしている人のための窓口ですよ。分かっていますか?」
あのときは、何だか自分がとんでもなくおかしな質問をしたような気がした。
私はただ、以前のような働き方ではなく、短時間から働きたいと思っていただけなのに。
雇用保険がつかない短時間の仕事を希望することは、そんなにいけないことなのだろうか。
ただでさえ落ち込んでいた私は、ますます何が何だか分からなくなってしまった。
でも、悔しかった。
25年間、きちんと働いて雇用保険料も納めてきた。それなのに、初めて利用する制度について質問しただけで、こんな言われ方をしなければならないのか。
さすがに、言われっぱなしでは終わらないのが、おばちゃんである。
受付で「あの方には担当してほしくありません」と伝え、自分の事情や気持ちを理解してくれる担当者をお願いした。
ハローワークに行くたびに嫌な気持ちになりたくなかったから。
幸い、担当者は替えてもらえた。
そして今、短時間の仕事を始めた私には、また別の疑問がある。
どうやら私は、効率の悪い働き方をしているらしい。
失業保険を受給しながら働くと、収入によって給付が減額されることがある。
3時間働いても、給付の減額分を考えると、実質的には2時間分ほどしか収入が増えない場合もある。
だから「1時間は働き損」という考え方になるらしい。
でも、そもそも働き損って何?
失業保険は、働く意思があって仕事を探しているけれど、まだ就職できていない人の生活を支えるためのもの。
働いて収入があれば、給付が減額されることもある。それは制度の仕組みだと思っている。
それを働き損と考えるのは、何だか違う気がする。
もちろん、働いた日や時間、収入についてはハローワークにきちんと申告している。
すでに再就職手当をもらえる時期も過ぎている。
だったら、失業保険の給付が終わるまでの残り期間は家でのんびりして、タイミーで働くのもそのあとにすればよかったのかもしれない。
金銭的なことだけ考えれば、そのほうがよかったのかな。
そんなことを考えると、カレンダーが埋まって喜んでいる自分が、何だかバカみたいに思えてくる。
実際、周囲からも言われる。
「失業保険があるんだから、のんびりすればいいのに」
でも、失業保険って、のんびりするためにもらうお金だったっけ?
働く意思があって、次の仕事を探している。その間の生活を支えるためのものじゃないの?
それに、のんびりって何?
毎日、何をして過ごせばいいの?
家事をして、買い物に行って、あとは家で過ごす。それも悪くないけれど、毎日となると話は別。
かといって、以前のような働き方に戻るつもりもない。
だから、短時間の仕事を始めた。
失業保険の認定日も残すところあと2回。
給付が終わるまで、のんびりしていてもよかったのかもしれないが、まーーいいさ
外野の声は、ひとまず聞こえなかったことにしよう。
どうせ何をしたって、あれこれ言う人はいる。
のんびりしていても、働いていても、私の人生。
何が楽しくて生きてるのかって?
おかげさまで、予定で、埋まったカレンダー眺めてニヤニヤしながら楽しく生きております。
