57歳真っ白だったカレンダーが埋まり始めた



57歳、元スーパーの店長。

25年間勤めたスーパーを退職して、しばらくの間、私のカレンダーは真っ白だった。

仕事の予定もなければ、特別な用事もない。毎日が日曜日。時間だけはたっぷりある。ところが、気持ちはちっとも晴れなかった。

本当は65歳まで働くつもりだった。それなのに、仕事の負担やいろいろなことが重なり、思い描いていた未来とは違う形で退職することになった。だから、簡単には気持ちを切り替えられなかった。朝起きても、何をしたらいいのかわからない。何かをする気力もない。長年、仕事中心で生きてきた人間が、突然その仕事を失うと、こんなにも生活が変わってしまうものなのか。

あんなに忙しかった毎日が、突然、何もない毎日に変わった。

仕事に追われていた頃は、ゆっくり休みたいと思っていた。それなのに、いざ時間ができても、何をしたらいいのかわからない。

人間って、面倒くさい生き物である。

そんな私も、少しずつ変わってきた。

ウォーキングを始め、家のことにも目を向けるようになり、ようやく朝早くに起きられる生活に戻った。


そして、思い切って始めたタイミー。

初めて行く職場。初めて会う人たち。57歳にして、毎回ちょっとした新人生活である。

スーパーのレジを打ったり、ゴルフ場で食器を片付けたり、お風呂掃除をしたり。以前の私なら、まさか自分がこんな働き方をするなんて、想像もしなかった。何しろ25年間、同じスーパーで働いていたのだから。


ある日カレンダーを眺めて、ふと思った。

あれ? けっこう予定が入ってるじゃないの!

ゴルフ場、お風呂掃除、スーパーのレジ。またゴルフ場。

あっちへ行ったり、こっちへ行ったり。何だか、あちこちに出没する57歳のおばちゃんになっている。

しかも、どれも自分で選んで入れた予定である。

誰かに勤務表を組まれたわけでもない。休日に仕事の電話がかかってくるわけでもない。責任者として、あれもこれも抱え込む必要もない。


働く日も、休む日も、自分で決める。

これが何とも新鮮なのだ。

もちろん、タイミーに行けば行ったで、いろんな人がいる。ネチネチ言ってくるおばさまもいれば、優しく教えてくれる若い子もいる。

毎回、ちょっとした事件は起きる。

でも、仕事が終われば、そこでおしまい。家に帰ってまで、職場のあれこれを背負う必要はない。

ああ、何て気楽なんだろう。


そして、もう一度カレンダーを眺める。


退職したばかりの頃は、あんなに真っ白だったのに。


あの頃は、予定がないことよりも、何もする気になれない自分がつらかった。それが今は、自分で仕事を探して、応募して、初めての場所にも出かけている。

私、けっこう動けるようになったじゃないか。

そう思ったら、何だか少し嬉しくなった。別に大きなことを成し遂げたわけじゃない。正社員に戻ったわけでもないし、収入だって以前とは比べものにならない。

でも、今の私にとっては、それでいい。

25年間、仕事中心で生きてきた。これからは、自分のペースで働きたい。そして、仕事だけじゃなく、ひとりでお茶したり、出かけたり、そんな時間も楽しみたい。

57歳。まだまだこれから。

……なんて、ちょっと前向きなことを考えていたら。

カレンダー、思った以上に埋まっている。

おいおい、私。やっぱり調子に乗ってる(笑)

せっかく自由になったんだから、休む日もちゃんと入れとけよ!

真っ白だったカレンダー。


今度は、自分の好きな色で埋めていこう。

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